2017年12月16日土曜日

村上春樹のエッセイ

このところ書店をぶらぶらしていても読みたいと思う本に出会わなくて困っているのですが、最近読んだ村上春樹の「職業としての小説家」という本はなかなか面白かったです。

講演調の平易な文体でかかれた自身の創作に関するエッセイで、この手の作品としては、私にとっては夏目漱石「私の個人主義」や大江健三郎の「私という小説家の作り方」と同じくらい、作家の内面をうかがい知ることができて面白かったです。

村上流の、のらりくらりとまわりくどく書いたあげく、あるところから逆説的かつおもむろに問題の核心に迫るあたり、夏目漱石の講演にも近いものがありますね。

村上春樹の書いていることには、もちろん共感できる部分とそうでない部分はあるのですが、彼のエッセイが私にとって面白い理由には、巧みな比喩のおかげで、彼の思考が「そう来たか」とか「あるある」的にわかった気になる、ということがあります。あと話の筋はシンプルでロジカルですので、読んでてかゆいところに手が届く的に、自分の見方や考えを代弁してくれている気になることもありますね。

村上春樹には「やがて悲しき外国語」というエッセイもあって、これは彼が1990年代初めにプリンストン大学に招かれて現地に滞在(2年半?)したときの体験に基づくものです。これも私はアメリカに住んでいた頃、サンフランシスコの紀伊国屋書店で買って読んだ好きな作品です。先月私がアメリカ出張でプリンストンを初めて訪れたときも持っていって、ホテルで楽しく読みました。

私は昔から好きな小説や映画の舞台となった土地を実際に訪ねてみることは好きだったのですが、自分の体験と比較しながら作家の体験を追体験する、というのも読書の楽しみの一つですね。

ちなみに、私は村上春樹ファンと呼べるほど、彼の作品はたくさんは読んでおりません(特に最近の作品は全く読んでいない)。その中で一番好きなものと聞かれたら、やはり「ねじまき鳥クロニクル」の中の「間宮中尉の長い話」です。


0 件のコメント:

コメントを投稿